蘇民将来(ソミンショウライ)という言葉を聞いた事があるでしょうか?
この言葉だけ聞けば、一体なんの事だかサッパリです。
東北では有名な昔話(?)なのだそうですが、日本の西の方に行くとあまり知られていないような感じがします。
この蘇民将来とは、災厄の厄除けおまじないのようなものなのです。
そして蘇民将来はスサノオノミコトと関係があり、少しばかり怖い伝承でもあります。
では蘇民将来について紹介しましょう。
蘇民将来の民話
それではまず初めに、蘇民将来とはどんなお話なのかご紹介しましょう。
ただし、地方によっては少しずつお話が違う場合もありますのでご注意ください。
牛頭天王が竜宮城へ向かう
昔々、牛頭天王(ごずてんのう)という人が、お嫁さんを探しに竜宮城へ出かけました。
竜宮城へは遠く、途中で泊めてもらうところを探していると一軒のお金持ちの家を発見します。
そのお金持ちの家に泊めて欲しいとお願いしますが、牛頭天王の身なりが汚かった為に断られます。
蘇民将来の家に泊めてもらう
次に蘇民将来という人のところに行くと、その家は貧しいながらも快く招き入れてくれたのです。
蘇民将来の家に泊めてもらい牛頭天王はお礼に宝物を授けてくれます。
蘇民将来は末永く幸せに暮らしました。
蘇民将来って人の名前だったんですね。
本当は怖い…蘇民将来
蘇民将来のお話は、いかにも「まんが日本昔ばなし」に出てきそうなお話ですが、実際はグリム童話のように残酷な物語のようです。
民話ではなく、備後国風土記に出てくる蘇民将来のお話を紹介しましょう。
牛頭天王はスサノオノミコト
民話に登場した牛頭天王は、実はスサノオノミコトであったようです。
風土記では武塔神(むとうしん)と名乗り、武塔神はみずから速須佐雄能神と名乗ります。
お金持ちの家は蘇民将来の弟だった
最初に泊めて欲しいと入ったお金持ちの家は、蘇民将来の弟の家で弟の名前は巨旦将来(こたんしょうらい)と言います。
この後、巨旦将来は貧乏になって幸せでない生涯を送るそうです。
村を全滅させる恐ろしさ…
スサノオノミコトは蘇民将来の家を出てから無事に奥さんを探して結婚します。
そして再び蘇民将来の家に挨拶に来て、蘇民将来の妻(娘の説もあり)に茅の輪を渡します。
スサノオは蘇民将来と茅の輪を付けた者以外は、すべて滅ぼしてしまうのです。
すべて滅ぼすって…、キレようが半端ないですね。
最後に蘇民将来の子孫と名乗る者、茅の輪を付けているものは疫病から免れるだろうと言ったそうです。
蘇民将来に隠された謎
かなりエグい話だった蘇民将来でしたが、このお話は色々な物が複雑に混ざっていたり、実際には良く判っていなかったりします。
では次に蘇民将来の謎や起源ついて紹介します。
茅の輪くぐりは、この説話が基になっている
茅の輪は疫病から守ってくれる重要な厄除けのアイテムです。
そうです。神社で行われる茅の輪くぐりの神事は、この出来事が基になっているのです。
牛頭天王とスサノオ、速須佐雄能神
この牛頭天や武塔神、速須佐雄能神は、災厄をもたらす神様となっています。
全滅させられた村は、疫病で死に絶えたと話に出てきます。
またこの神様は元々日本の神様ではなかったようですが、いつしか日本の須佐之男命と同一神とされるようなりました。
実際にはよく判っていない蘇民将来
本当のところ、この話自体が日本のお話かどうかも分かっていません。
世界の各地に同じようなお話がある為、海外のお話を当時の日本の情勢に合わせて再編集されたかも知れないのです。
蘇民将来は魔除け、厄除けに効く
蘇民将来の起源をある程度は理解してもらえたかと思います。
「蘇民将来子孫」
「蘇民将来之子孫也」
「蘇民将来子孫家門」
などという文字を家の前に張り出しておけば、その家人に災いが降りかからないと言われています。
蘇民将来のお守り
すべてがそうだとは言えませんが、蘇民将来のお守りは須佐之男命が祀られている神社で授与してもらるはずです。
こけしのような形をした物やお札、木札、茅の輪、しめ飾り…
私は八坂神社で授与して頂きました。
それがこちらです。
左の大きいのは家の前に飾るもので、右の小さいのはストラップになっています。
「蘇民将来子孫在也」の文字がひっくり返ってました。orz
今日からこのお守りを家の前に飾って、災厄から守ってもらおうと思います。
おまけ
こどもには、スサノオさまのこどもおまもり!
これを子供のランドセルに付ける予定です。
ちなみに、このページの最初にある神社の写真は八坂神社です。
このお守りを授与してもらうために参拝に行った時に撮影しました。
蘇民将来 まとめ
弱気を助け、強気を挫く!助けてくれた人には恩返し、雑に扱った人はボコボコ!
勧善懲悪なストーリーがなんとも清々しい蘇民将来でした。
物語の中で蘇民将来以外の者は全滅する訳ですから、もしかしたら私たちは蘇民将来の子孫って事かも知れませんね。
蘇民将来の護符などが授与してもらえるのは、須佐之男命が祀られている神社です。
お近くに須佐之男命の神社があれば、是非行ってみてください。
しかし現実的に考えれば残酷な一面を持ち、背筋が寒くなる物語でしたが…それはそれ。
どんな人にも分け隔てなく優しく、大きな心を持って日々生活するようにとの教えなのだと思いました。
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