菊酒というのをご存知でしょうか?
本来は旧暦9月9日の重陽の節句に長寿や無病息災などを願って飲むお酒です。
他にも菊酒というのは邪気を払ったり、病気を治癒する呪力があるとされています。
それでは重陽の節句に触れつつ、菊酒の魅力について紹介致しましょう。
最後には菊酒の作り方も記載しておきますので、是非ご覧ください。
菊酒とは
長寿や邪気払いが出来るという縁起の良い飲み物です。
お酒に菊の花を浮かべて飲むことを指すようですが、現在では菊の形をした杯で飲むお酒も菊酒として扱われる事があります。
菊酒には昔ながらの製法があり、菊の花びらを浸した水で作ったお酒があります。
これが一番『菊酒』らしいようにも思いますね。
菊酒の逸話
菊酒の起源については諸説あるようなのですが、おそらく中国が発祥だと考えられています。
中国の文帝という皇帝が占い師に早死にすると言われたのですが、仙人が酒に菊の花を浮かべて飲むように伝えると長生きしたという話です。
こちらは菊水ですが、日本にも逸話があります。
菊水の湧く谷が甲斐の国にあり、その水を飲めば長寿を得らえるとあります。
また菊水については、菊が自生している山から流れてくる川の水に菊の滋養が溶け込んでおり、その水は霊水として扱われていたという話もあります。
このように菊には滋養成分があり、それを飲むことで長寿になるという事のようです。
菊酒の邪気払い効果
元々、お酒には消毒効果などがあり、浄化などにもよく使われています。
またお酒は神聖なものとして神様に捧げられます。お神酒ですね。
菊の花は昔、薬として使われていました。
更にはその植物が栄える一番の季節(旬)には、漲る生命力を持ち、栄養を備えています。
そういう観点から菊酒には病気を治癒する力がありますので、邪気(=病気)が祓えるとされているのでは無いでしょうか。
また菊の花はお墓にお供えされ、清々しい香りと花の気品高さから邪気祓いとして扱われています。
墓地に近寄る魑魅魍魎からお墓を守ってくれるのです。
重陽の節句とは
重陽の節句とは旧暦の9月9日の事で、丁度、菊の花の咲く季節にあたります。
現在は旧暦とは関係なく、9月9日です。
重陽の節句は、元々、中国から来たようですが、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日と奇数が重なる日を縁起が良いという事で大切にしてきました。
今も日本ではひな祭り、子供の日、七夕となっているのですが、9月9日だけは忘れられてしまったようです。
になみに古くは日本でも9月9日は正式な祝日だったのですが、近年になって無くなってしまったようです。
この重陽の節句に菊酒を飲むと無病息災になると言われています。
お酒を飲むという事ですから、大人の祭りといった感じでしょうか。
菊の滋養について
お祓い堂視線からは少し話が逸れしてしまうかも知れませんが、菊は漢方薬として扱われてきた経緯があります。
また食用菊は現在も栽培されています。
栄養面ではビタミン、ミネラルが豊富で抗酸化能力が高いと言われています。
また解毒作用があり、中性脂肪を低下させる効果があるとの事です。
お刺身の添え物として菊の花をよく見かけますが、あれは解毒作用を期待したものだったんですね。
さらにアンチエイジングにも注目されている食材です。
菊は苦みが強いようなので、食べたり菊酒にするのであれば食用菊を使用しましょうね。
ちなみに現在でも小学校などで、食育として菊が給食などに出るところもあります。
菊酒の作り方
お待たせしました。
それでは菊酒の作り方です。
まずはどの方法で菊酒を作るにしても、菊の花をよく洗って、水気を取っておいてください。
日本酒の菊酒 作り方
こちらは単純に日本酒に食用菊を浮かべて飲むだけです。
食用菊を使用してください。
日本酒を注いだ盃に、そのまま菊の花を浮かべて飲む飲み方がひとつ。
こちらの方はダイナミックでインスタ映えすると思いますが、お酒を飲み終わったら…花は食べれるかな?
もう一つは日本酒を注いだ盃に、菊の花びらだけをちぎって浮かべて飲む飲み方があります。
花びらだけを数枚浮かべて飲むのであれば、お酒と一緒に花びらも飲めちゃいそうですからこらの方が良いように思います。
どっちらも飲みすぎには注意してください。
焼酎の菊酒 作り方
こちらは一般的な果実酒と同じ方法で作ります。
ホワイトリカーと氷砂糖に食用菊を交互に漬けて、1ヵ月ほど保存しておけば『菊酒』の出来上がりです。
梅酒を漬けられる人であれば、同じように作れるのではないでしょうか。
こちらの難点は、作ってすぐに飲めない事ですね。
作ってから1ヵ月ほどは我慢、我慢。
菊酒で邪気払い – 旧暦9月9日 重陽の節句 まとめ
古くは天皇陛下が臣下に菊酒を下賜されたという話もあります。
という事は、当然、天皇陛下も飲まれていたのでしょう。
それくらい有難い『菊酒』だったようです。
近年では重陽の節句だけでなく、菊酒自体も忘れられているようで、今ではお酒の銘柄に「菊水」という名が残っている程度でしょうか。
もっと菊酒にスポットライトがあたり、菊酒が復活して欲しいものです。
最後になりますが、花札の酒盃の絵柄をご存知でしょうか?
そこには酒盃と菊の絵が書かれています。
桜の札と酒盃札で「花見酒」、月の札と酒盃札で「月見酒」となりますが、この2つに加え昔は『菊酒』もポピュラーだったようです。
今回は邪気払いの菊酒を紹介しました。
縁起の良いものですが、お酒は20歳になってから!飲み過ぎには注意してください。
このふたつがあれば、菊酒が造れますね!
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